☆ 思いやり ☆ 優しさ ☆ 感謝 ☆ ============

「志通信」メールマガジン 2010.8 VOL.112

========================= Good Communication♪

■クレクレ物語


むかしむかし...

あるところに、
「クレクレ」という
若者が住んでいました。


クレクレは、
子どもの頃に
「わらしべ長者」を読んで、

「わら一本で幸せになれたなんて、
うらやましいなあ。
自分もこうなりたいなぁ。」

と思うようになりました。


それ以来、
自分が損をしないことだけを
考えるようになったクレクレは、

自分のオモチャは、
できるだけ貸さないようにして、
そのくせ、友達から
オモチャを借りた時は、
忘れたふりをして
催促されるまで
返さないようにしていました。


クリスマスパーティの
おもちゃ交換会では、
使い古したボロボロの
おもちゃを持って行き、

友達が持って来た
新しいおもちゃを持ち帰って、
自分は着々とわらしべ長者に
近づいていると
ほくそ笑んでいたのです。


小学校や中学校の
学級委員や生徒会の仕事は
一円の得にもならないので、
絶対に引き受けませんでした。


高校生になって
友達と遊びに行き、
「割り勘」で払う時も、
あれこれ理由を付けて
できるだけ自分の支払いを
少なくするよう努力をしていました。


大学を卒業して働くようになっても、

「ちょっと体調が良くないんです」とか、

「それは僕の担当じゃありませんから...」

とあれこれ理由を付けて、
人よりもとにかく
楽をすることばかり考えていました。


そんなクレクレは、

友達が出世すると、

「あの世渡り上手の強欲野郎、
うまくやりやがったな。」

と悔しがり、

友人が結婚して
幸せな生活を送っていると、

「俺は、わらしべ長者になって
可愛い奥さんをゲットしてやるぞ」

と考えていました。



そんなある日、夢の中に、
小さい頃に亡くなった
おばあちゃんが出てきました。

夢の中のおばあちゃんは、
仏壇の観音様に向かって
何かお祈りをしているようでした。


次の日も、
夢におばあちゃんが出てきて、
観音様にお祈りをしていました。

何をお祈りしているんだろうと
耳を澄ませてみると

「可愛い孫のクレクレが、
どうしてあんな風に
育ってしまったのだろう。

いずれ気がついて、
まともな人間になりますように」

というおばあちゃんの
つぶやきが聞こえてきました。


クレクレは、その意味が分からず、

「おばあちゃん、大丈夫。
ボクは絶対にわらしべ長者に
なってみせるからね」

と夢の中で誓いました。


さらに次の日の夜、
ふと目が覚めたクレクレの目の前に
観音様が現れて、


「クレクレ、お前は
わらしべ長者の意味を
履き違えて理解しているし、
おばあちゃんの気持ちが
全然分かっていないよ。

お前のように自分の損得ばかりを
考えていては幸せになれない。

幸せになるためには、
他人を幸せにしなさい。

そうすれば、いずれ自分にも
幸せが返ってくるんだよ。」


と諭されました。


その週末、クレクレは、
買い物に出掛けたのですが、

公園を通り掛った際に
ゴミ拾いをしている
ボランティア団体を見かけました。

その団体のリーダをしていたのは、
出世した友人でした。

クレクレは、休日に
ボランティア活動をするなんて
一銭の得にもならないと考えていた
自分に気が付きました。


それから電車に乗ったクレクレは、
若い夫婦がおばあさんに
席を譲っている光景を目にしました。

その若い夫婦は、
幸せな結婚生活を送っていた
友人でした。

クレクレは、生まれてこの方、
自分が座ることばかりを考えて
一度も席など譲ったことのない
自分に気が付きました。


「もしかすると、自分は
大きな勘違いを
していたのかもしれない」


クレクレは、自分のこれまでの
生き方や考え方に
疑問を感じ始めました。


次の週末、クレクレは自分の財布に、
商店街の福引でもらった宝くじが
入っていることに気付きました。

当選番号を確認してみると、
ナント、3000円が当たっていました。

クレクレは、

「ラッキー、
Tシャツでも買いに行こうかな」

と買い物に出掛けたのですが、
途中、お寺の横を歩いていて、
ふと観音様の言葉を思い出し、
考え込んでしまいました。


「どうせ宝くじで
当たったお金なんだから、
騙されたと思って、
人のために使ってみよう」


そう決心したクレクレが歩いていると、
中学生が、大きな声で
募金活動をしている姿を目にしました。

それまでは、そんな風景を目にしても、
できるだけ離れて歩いて、
目を合わせないようにしていたのですが、
その日のクレクレは違っていました。

近づいていって、
募金箱に1000円札を入れると、

坊主頭の中学生は、
満面の笑顔でクレクレの目を見つめ、

大きな声で

「ありがとうございます」

とお礼を言ってくれたのです。

クレクレは、何だか心が
軽くなったような気がしました。


帰りの電車では、
杖をついたおじいさんが
乗ってきたので席を譲ると、

おじいさんはニコニコしながら、

「ありがとね」

とお礼の気持ちを伝えてくれて、
胸があったかくなりました。


隣に座っていたおばさんからは、

「今時の若者っていうけど、
席を譲るなんて偉いねぇ」

と褒められ、
くすぐったい気分になりました。


クレクレは、駅から帰る途中、
公園近くの道端に
ゴミが散乱しているのを見つけ、
拾ってゴミ箱に入れました。

クレクレの心は
スッキリしていました。


そして、家に帰る途中、
数日前に母親が、テレビを見ながら、

「しばらく美味しい
ケーキを食べてないわ...」

と言っていたことを思い出して、
ケーキ屋さんに寄って、
残りの2000円で
母親が大好きなイチゴのケーキを
丸ごと買って帰りました。


家に帰って、

「これプレゼント!」

と言うと母親はびっくりしながらも、
とっても喜んでくれました。


翌日、会社の朝礼で、
上司のイキイキ課長が、

「昨日、公園の近くを歩いていたら、
クレクレ君が一人でゴミを
拾っていたのを見かけたぞ。
みんなも見習おう!」

とクレクレを褒めてくれました。


クレクレは、まさかイキイキ課長が
見ていたとは知らず、

昔、おばあちゃんが

「イイことをしても、悪いことをしても
お天道さまが見ているよ」

と言っていた事を思い出しました。


クレクレは、お昼休憩に
イキイキ課長が、会社の食堂で
お昼を食べているのを見かけ、

「ご一緒させていただいて
よろしいですか?」

と声を掛けました。


「今朝は、褒めていただいて
ありがとうございました。」

と素直にお礼を言うと、

イキイキ課長は、

「正直、クレクレ君が
ゴミを拾うような人間だとは
思っていなかったので、
俺もびっくりしたよ。

そんなイイところがあることに
これまで気付いてやれなくて
すまなかったな。

どうだ、これから、
仕事の方も頑張ってみないか?」

と声を掛けてくれました。


クレクレが、

「ありがとうございます。

これまでは、仕事で
自分が楽をすることばかり
考えていたんです。
申し訳ありませんでした。

これからは、チームや会社のこと、
そしてお客様のことを考えながら
やり直したいと思います。

ご指導よろしくお願いします。」

と伝えると、イキイキ課長は
とっても喜んでくれました。


それからのクレクレは、
相手の立場に立って、
仕事を頑張るように
なりました。

思いやりや優しさ、そして
感謝の大切さを知ったクレクレには、
たくさんの協力者や応援者が現れ、
ドンドン出世していきました。

そして、会社のマドンナだった
「アゲアゲ」とお付き合いするように
なりました。

そして、一年後にめでたく
アゲアゲと結婚したクレクレは、
養子となって名前が「アゲアゲ」
になったのでした...ちゃんちゃん♪


(作:みのえる)



■編集後記


今回は、みのえるの
「現代版おとぎ話」でした♪

また感想等、お寄せくださいネ!




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