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    「志通信」メールマガジン                  2000年3月 VOL.23

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■公器

以前お手伝いさせていただいた会社の後継者の方から連絡をいただき、久しぶりに杯を重ねることになりました。
新規事業に関する相談から始まり、あれこれと話題は尽きなかったのですが、経営者として益々成長されていることを実感することができました。
この方は大学を卒業後、大手企業に就職し、20代後半で父親の経営する会社に入社されました。
最初は営業部に所属し、その後営業部長、専務と昇進され、社長交代の話が持ち上がった頃にある方の紹介で知り合ったのですが、30代という比較的早い時期の社長交代であり、経営の方向性についてアドバイスさせていただきました。
この方が松下幸之助翁の経営哲学に共感されていたこともあり、社長交代における変革のポイントを「会社は公器である」という一点に集約し、徹底して推進しました。
これは、会社は経営者や社員の私物ではなく、社会から預かった公のものであるという考え方を基本にしています。
言い換えれば、会社という存在はお客様と社会があってはじめて成立するものであり、そのことに感謝し最大限お役に立つことができるよう取り組むことが事業活動の原点であるというものです。
この会社は、創業社長が寝る時間も惜しんで一生懸命に取り組まれ、高度成長の波にも乗り事業を拡大されてきました。
しかしながら過去の成功体験によって、売上や利益を確保するためにお客様の満足よりも自社の都合が優先されることも少なくありませんでした。
この後継者の方は、昨今の厳しい状況の中で業績が伸び悩んでいる原因がここにあるのではないかと考え、そのような状況を打破し、成長していくために「会社は公器」という方向性を打ち出したのです。
しかし社内の混乱は少なくありませんでした。
そこで早朝の個人面接を行ったり、終業後は「飲みニケーション」といった機会をできるだけ設け、事ある毎に自分自身の「こういう会社にしたい」という想いと、社員にとってそのような会社で働くことがどういった意味合いを持つのかということについて、一定の理解と納得をしていただけるまで伝え続けられました。
この想いはある種の夢物語のようなものですから、当初は社員も半信半疑であったようです。
しかしながら属する業界が古い体質であったことも幸いし、比較的短期間でお客様の評価が向上し始め、それに伴って業績も序々に上向いていきました。
そしてお客様からの反応や業績の向上といった変化を肌で感じることによって、社員さんの意識も次第に変わっていきました。
またこのような意識の変化には、社内的な要因もありました。
と言いますのは、この方は会社が公器であることを徹底するため、それまでグレイであった経費の公私混同を無くしていったのです。
社員との飲みニケーションはポケットマネーか割り勘ですし、飲食費やゴルフ代といった接待費も業務として明確なもの以外は自腹で支払いをされていました。
また自分の車も「私用で使うこともあるから」と会社の経費ではなく個人で購入されるなど、ありとあらゆる事に取り組まれました。
後から振り返ってみると、このようなことの積み重ねが変革のスピードアップに繋がり、その後も、厳しいながら事業は順調に推移されているそうです。
今号では、「会社は公器である」という方針に対する徹底的な取り組みを通じて、経営者と会社が大きく成長された例をご紹介させていただきました。
この方と会社が益々輝き、益々成長発展していかれることを心よりお祈りしております。


■考事縁

考事縁とは、「物事(の本質)を考えるご縁(きっかけ)作り」の意

こう‐き【公器】 おおやけのもの。
(広辞苑より抜粋)

●経営者にとって、特に創業者にとって、会社は自らの子供同様に可愛いものです。
またこれまで様々な苦労をして育て上げた会社ですから、自分の思うように運営したいと思われる気持ちも良く分かります。
しかしながら、時代が大きく変革する中で、従来のやり方を踏襲するだけでは限界がきてしまうようです。
子供がいつかは親元を離れていくのと同様に、会社を独り立ちさせていくためには「公のものである」という考え方も必要なのではないでしょうか。

■編集後記

おかげさまで、この3月は忙しい一ヶ月になりそうです。
「体調を崩すわけにはいかない」というプレッシャーはありますが、忙しくされている方ほど時間の使い方が上手であると良く言われますし、自分自身も比較的余裕がある時よりも、こういう忙しい時の方が時間を有効活用できているように感じます。
この一ヶ月どれだけ充実した日々を送ることができるか挑戦してみたいと思います。
年度末で何かと忙しい時期ではありますが、共に健康第一で頑張りましょう !!
そして今年こそ、例年有言不実行となっている「ゴールデンウィークの家族サービス」を、権威が失墜しないうちに実行したいと思います。
(もう遅いかもしれませんが…)

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