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    「志通信」メールマガジン                  2002年4月 VOL.30

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■自己表現

先日、とあるお店で一人寂しく食事をしていたところ、カウンターで偶然隣り合わせに なった40〜50代の3人の方と親しくなり、いろいろな話題に花が咲きました。
失礼ながら職業を伺ってみると、建築家やデザイナー、陶芸家といった芸術家の方 だったのですが、「景気はあまり良くないですねー」と言われる割には、 大変元気で明るく、とても魅力を感じるのです。
酔った頭で「普通景気が良くないと、もっと暗くなってしまうはずだけど、 この人達はどうしてこんなに元気があるのだろう?」と考えていたのですが、 話を聞きながら「この人たちは自己表現をしているから元気なのではないか…」 という答えが思い浮かんできました。
芸術家なのですから、作品を作ることによって自己表現をしているというのは、 当たり前と言えば当たり前の事なのですが、仕事だけでなくプライベートにおいても 趣味やボランティア等で活躍されているようで (もちろんこの方たちにはそういう自覚はないのですが…)、 それによって活力と魅力が生まれているのではないかと感じたのです。

松下幸之助先生は「経営とは生きた総合芸術である」という言葉を残されています。
確かに経営とは、無から有を生み出す創造活動であり、芸術に通じるものがありますし、 経営者は自社の経営を通じて自己表現をしていると言えます。
そして経営者が「総合芸術家」であるとすれば、管理職や一般社員とは、 それぞれの立場の「専門芸術家」と言うことができます。
社員それぞれが自分なりの専門分野、得意分野を通じて自己表現できれば 素晴らしいことですし、そうやって個々の活力を高めていけば、組織の活力も 高まっていくことは間違いないでしょう。
頑張りが成果につながりにくい時代です。状況によっては結果ばかりに目を向けるのでなく、 こういったプロセスに着目した方が本人の動機付けに繋がり、結果的に売上や利益の向上に結び付く場合もあります。
「自己表現」とは奥が深く、私自身も立場や環境が変化する中で、試行錯誤ばかり 繰り返しておりますが、私の自己表現によって、先程の芸術家の方と同様、 周囲の方に少しでも元気と活力を与えることができれば幸いに存じます。


■上甲先生

松下幸之助先生と言えば、松下政経塾を連想される方も少なくないと思いますが、 塾生の中からこれまでに数名の国会議員を選出され、またこの度の横浜市長選では 中田宏氏が当選され、遺志が少しずつ形になってきているように感じます。
今年の初めに、元政経塾の塾頭で現在「志ネットワーク」を主催されている 上甲晃先生の講演会に参加してまいりました。
この方は、長年松下幸之助先生の薫陶を受けられており、政経塾でのエピソードや 最近の活動の中での様々な事例を聞かせていただいたのですが、 いくつか印象に残った話をご紹介させていただきます。

まず『有難う(ありがとう)』という言葉は、「難が有ることに感謝する」 という意味であり、困難が自分を成長させてくれることを示していること、 またこれからの提言として『一歩前に』と『天が見ている』という二つの言葉を挙げられ、 「個々の利害ではなく全体を考えて必要なことであれば、人が嫌がることであっても勇気を出して自分がやりましょう。その積み重ねが全体を良くすることに繋がっていきます。」 ということ、そして「やらなければいけないことは誰がなんと言おうとやる!」、 「やってはいけないことは、例え誰も見ていないとしてもやってはいけない!」 ということをおっしゃっていました。

普段の自分の言動と照らし合わせて「ドキッ」としながらも、言葉の端々から上甲先生の お人柄が感じられ、とても爽やかな気分で会場を後にすることができました。


■一流の人格者

上甲先生は「青年塾」という「一流の人格者をめざす道場」を設立されています。 以下に案内から一部抜粋してご紹介したいと思います。

だれでも、志を立てれば「一流の人格者」になれる。大事なことは「志を立てること」だ。
願いを持つからこそ、道が開けるのである。
「一流の人格者」を育てるために、私が重視しているのは、「心を育てる教育」である。
「頭を育てる教育」は、日本中、世界中、掃いて捨てるほどに罷り通っている。
それに対して、私は「心を育てる教育」を行うことを基本の指針として 『青年塾』を運営している。
「心」、とりわけ「他人に対する思いやりの心を育てる教育」である。
「他人に対する思いやりの心」が育ってくればくるほど、 おのずと「自分さえよければいい」といった狭量な考え方を超えられるようになるのだ。
そのために「頭に詰め込む知識の教育」ではなく、「心に刻み込む知恵の教育」を 『青年塾』ではもっとも大切にしている。
知恵は、現場において額に汗をしながら、自分の体で体験をすることにより、 身に付くものである。
知識として「知っている」だけでは足りない。
自ら「できる」というのが本当に分かったことを意味している。


■編集後記

「自己表現をすること」、「志を立てること」、「他人を思いやること」、 書くのは簡単ですが、実行するのは大変なことです。
私は偉そうなことを書いたり、人前で話をしたりしておりますが、 できていないことだらけでお恥ずかしいばかりです。
ただ苦しい時代が長引く中で、上甲先生のように行動される方が増えつつあるように 感じます。
私もそんな一人となれるよう、頑張ります。
皆さん私の背中を押し、尻を叩いてください。よろしくお願いいたします。
(そう言えば上甲先生は、「自分で考え行動しなさい」と言われていました…笑)

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