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「志通信」メールマガジン 2002年8月 VOL.31
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■今日という日
今年の5月、親しくさせていただき、お世話になっていたクライアントの社長が40歳の若さで亡くなられました。昨年の11月、社長に就任された直後に癌が発覚し、それからわずか半年後のことでした。
6月には知人が通勤途中の交通事故で亡くなられました。40代半ばでの突然のことでした。
そしてつい先日、私が社会人になった当初お世話になった方が亡くなられました。
「最近仕事はどうですか?頑張りなさいよ」と激励のお電話をいただいたばかりのことでした。
人間は生まれた時から死に向かって歩んでおり、誰もがいつかは死を迎えること、そしてそれがいつのことかは誰にも分からないことは重々承知しているつもりですが、特に若くして亡くなられた方を目の当たりにすると、複雑な気持ちになります。
いろいろと思いを巡らせる中で、ふと思い出したのが、以前お寺さんのホームページで見かけた下記の言葉でした。
「私が無駄に過ごした今日という日は、昨日亡くなった人が痛切に生きたいと願った一日である」
過ぎた一日のことは、自分自身が一番良く分かります。
無駄にしてしまうことのないよう、自分と向き合っていきたいと存じます。
合掌
■仏教に学ぶ
ご縁がありまして、数十名の青年僧侶の方と意見交換をさせていただく機会がありました。
失礼ながら私の予想していたよりも社会に対して様々な問題意識を持たれており、僧侶という難しい立場の中で工夫しながら取り組んでいらっしゃることが良く分かりましたし、人に何かを伝えることの難しさも含め、多くのことを教わることができました。
特に感じたのは、自分勝手な言動が横行し、いたずらに利己的な欲求の充足を追い求める傾向にある中で、これからより良い社会創りを進めていく為には、「感謝」や「思いやり」といった考え方を分かりやすく、そして受け止めやすく伝えていくことが必要であるということです。
私自身勉強を積み重ね、少しずつでもお伝えしていくことができればと思います。
■足るを知る
聞きかじりの話で恐縮ですが、「足るを知る」という言葉があります。
この言葉は、「我慢が必要」とか、「倹約しなけれならない」といった捉え方をされている事が少なくないようですが、それよりも「与えられたものや現存しているものに感謝し、積極的に喜びや幸せを見い出すことが必要である。」というのが本来の意味のようです。
お釈迦様の言われた「少欲知足」や茶道で言うところの「知足按分」、老子の「足るを知る者は富む」という言葉は同義のようですし、貝原益軒の「養生訓」の中でも同様のことが記述されているそうです。
また京都の竜安寺にある水戸黄門(徳川光圀)が寄進したと言われる“つくばい” にも「吾唯知足」と書かれており、「知足のものは貧しいといえども富み、不知足のものは富むといえども貧しい」という禅の精神を伝えています。
物質的に豊かな時代ではありますが、お金や物の欲求は際限がなく、半永久的に満たされることはありません。
また厳しい時代背景の中で、つい不平や不満を漏らしてしまうことも少なくないのですが、「足るを知る」という言葉は、現状に深い感謝の念を持つことが大切だと言っているのです。
私が小学生の時、親から「一粒のお米であっても、汗水たらして作った方、それをお店まで運ぶ方、それを販売してくれる方など、多くの人の努力があるのだから、茶碗のご飯を残してはいけない」と注意されたことがあります。
その時は「確かにそうだなー、食べ物を大切にしないといけないな」と思いましたが、それ以降次第に飽食とグルメの時代に呑み込まれ、そのようなことなど、すっかり忘れておりました。
そして結婚して少し経った頃、うちの家内から「ご飯粒を残すの?」と言われてどきっとしたことがあります。
茶碗を覗き込むと確かに2〜3粒残っておりました。
「うちの実家では、残すと怒られていたのよ」と言われて、前記のことを思い出したのですが、いつの間にか感謝の気持ちをなくしていたのです。
「たかが米粒、されど米粒」。
「これからは心の時代である」と言われますが、小さな事であっても感謝する心がなければ、本当に豊かであるとは言えないでしょう。
よく言われることではありますが、今の自分が存在しているのは、自分一人の力ではありません。
多くの方の援助があって、はじめて可能なことなのです。
このことから考えれば、この言葉は謙虚さが大切であることを教えてくれています。
「足るを知る」これからの時代に益々重要なキーワードの一つと言えるのではないでしょうか。
■編集後記
親の教えのお陰で、一向に体重は減少しておりません。(笑)
冗談はさておき、酷暑の中、体調を維持するためにできるだけ汗を流すようにしているのですが、これが結構功を奏しているようです。
ただ「おじさん臭」を発しつつあるようですので、少々気を遣っております。
昔はそんなこと気にもしなかったのですが、年齢を感じる今日この頃です…
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