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    「志通信」メールマガジン       2004.4 VOL.37

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■ナンバー2

ナンバー2という存在は、経営トップと比較すると、目立つことが少なく、 黒子や影武者、縁の下の力持ち的な存在とも言われます。

ナンバー2の中には、トップに対する不満や悪口を口にする方もありますし、 トップとの確執が生じて派閥争いをしているようなケースもありますが、 広島の惣菜メーカーである株式会社フレッシュセブンの秋山専務は、 実兄である秋山社長のサポート役に見事に徹しておられます。

これはイエスマンという意味ではなく、ナンバー2という立場で自分のスタイルを 確立され、社員や取引先、仕入先とも良好な関係を築いておられるのです。 先日、その秘訣について伺ってみました。

■徹する

まず最初に出てきたのは、「田原さん、私は社長を男にしたいんですよ」という言葉でした。
「うちは男5人女1人の6人兄弟で、社長が次男で私が一番下の五男です。 他の兄弟は別の仕事をしていますので、私達二人が家を代表してこの仕事をしていると 考えています。 だから私にとって、社長をサポートするのは当たり前のことなのです。 格好付けて、言っている訳ではないんですよ。 と言うのは、社長を男にして会社が良くならなければ、私自身も幸せにはなれないの ですから、当然のことだと思っているんです。 それにトップは1人で十分です。 となれば、ナンバー2である自分は、その職務を全うするだけです。」

との返答でした。
日常の中で気を付けられていることをお聞きしてみますと、

「仕事をする上では、兄弟ではなく他人だと思って接しています。 もう習慣になっているのですが、社長に対しては、仕事中はもちろんプライベートでも 常に敬語を使います。兄貴と呼ぶことはありません。 兄弟色が出てしまっては、従業員もやりにくいでしょうから、そういうことは意識的に 排除するようにしています。 ある意味、他人以上にシビアにやっているかもしれません。 それと、私は自分の役割について、人間の身体で言うと、『首』だと思っています。 社長が『頭』、幹部社員は『肩』で、その他の部分を他の従業員が支えてくれているのです。 首は細い部位ですが、頭と身体を結ぶ重要な役割を担っていると自負しています。」

とのことでした。ご本人は、 「良い仕事をして、良い会社を作ろうと思えば、当然のことでしょう。」 と淡々と述べられるのですが、普通は頭では分かっていてもなかなか実行できること ではありません。 なぜここまで徹することが出来るのだろうかと疑問に思い、更に伺ってみると、

「言われてみると、一つ思い出したことがあります。
以前、別の会社で兄と一緒に仕事をしていた時に、そこでの仕事が嫌になって
辞めようと思ったことがあるんです。
当時工場長であった兄に、仕事を辞めて大阪に行きたいと相談を持ち掛けると、
『そうか、それなら行ってこい』とあっさり言われたんです。
私は、それまでも自分なりに頑張ってきたつもりだったのに、引き止められもしなかった
ので、自分の存在価値を否定されたような気がして、とても悔しかったんです。
正直言ってその時は『いつか絶対、おまえがいてくれて助かったと言われる存在になろう』
と思いました。
考えてみるとこれが私の原点かもしれません。
随分後になって、この時のことを社長に聞いたところ、社長としては、
他所の飯を食べるのも、私にとって良い経験になるだろうと思って口にした何気ない 一言だったようですが、私が奮起し、自分自身に厳しくなるきっかけになったのでは
ないかと思います。」


とのことでした。
最近の状況についてお聞きしてみますと

「自分で言うのも何ですが、社長から少しは認められてきたように思います。
社長は現場に精通し、数字もシビアに見られる方ですが、人間ですから時に判断を
誤りそうになることもあります。
その時は遠慮なく私の意見を述べるようにしています。
ただ一旦決定した事については、何があろうと必ずやりきるようにしています。
それと社長には、『私のことを誉めないで欲しい』とお願いしています。
と言うのは、私は誉められると現状に満足するという弱さが出たり、
逆に天狗になってしまったりしそうで怖いんです。」


とあくまでも真摯に仕事に取り組まれていることが窺えました。
最後に、今後について伺ったところ、

「私は従業員や取引先に対して厳しく要求する方ですので、時には誤解を受けることも
あるのですが、切磋琢磨することが結局お互いのプラスになると考えています。
ある時、従業員から『専務は、辛い仕事でも自ら先頭に立って取り組まれるので、
私達も手を抜けないんです。でもそれが自分の成長につながっていると実感しています』
と言われたことがありました。
また取引先の方から、『専務、私はあなたがいるから、少々無理を言われても頑張って
います。これからもよろしくお願いします。』と言われたこともあります。
これらは、私にとって大きな喜びであると共に、励みになっています。
当社は食品の製造業で、『医食同源』をテーマとしていますが、お客様に美味しく
安全なものを提供するために、様々な工夫を積み重ねて成長し、
日々頑張ってくれている従業員にも報いていきたいと思います。」


との力強いお言葉を頂きました。
話を伺う中で、専務さんだけでなく、社長さんの素晴らしさと、両者の絶妙なバランスの 良さを垣間見ることができたように思います。 この会社の益々のご発展に期待したいと思います。  

余談になりますが、この専務さんの歌はプロ級です。
お聞きしてみると、相当練習されているようで、一芸に秀でる方は、 全てに通ずるものがあるのだなあと実感致しました。

■編集後記

早いもので、今年も既に3分の1が過ぎようとしていますが、 年初の目標は計画通り進んでいらっしゃいますでしょうか。 ある人に聞いた話では、私は今年、大殺界の一年らしいのですが、 良い占いしか信じない私は、これを覆してやろうと、ふんどしを締め直しております。

※今号では原稿の都合で、「親バカ進之助通信」をお休みさせていただきます。 (進之助は、順調に成長しております♪)

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