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    「志通信」メールマガジン       2004.8 VOL.40

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■学校教育に学ぶ

人財教育に関連して、家庭や学校での教育問題が話題に上がることは
少なくありませんが、「カリスマ体育教師」、そして「生徒指導の神様」と言われ、
大阪の松虫中学校で7年間に13回もの陸上日本一を誕生させた原田隆史先生の
ビデオを拝見しました。
(T社長さま、ビデオをありがとうございました)

以前、ユニクロの社員教育を担当されているという話に興味を持ち、
著書を読んだことはあったのですが、今回、ビデオの講演内容や授業風景から、
先生の熱い想いや随処に工夫を凝らした指導を具体的に知ることができましたし、
先生のパワーをひしひしと感じることができました。


■本気・徹底・継続

原田先生の生活指導での一例を挙げると、生徒には徹底して掃除をさせています。
ただ「掃除をしなさい」と言うだけでなく、一人ひとりの担当範囲を決め、
その出来映えは先生自身が毎日夜遅くまで懐中電灯を使ってチェックし、
その結果を表に書き込んで教室に張り出します。

最初の内は、掃除をする生徒としない生徒に分かれたり、
わがままな生徒が他の生徒に掃除を押し付けるようなこともあったそうですが、
徹底的にチェックし、問題児に対しては一緒に掃除をするなどの粘り強い指導を
繰り返していく内に、全員が進んで掃除をやるようになっていったそうです。

また体育の授業も原田流で徹底しています。
例えば、走り幅跳びの授業では、最初に少し練習して、それから順番に跳んで
記録を取って終わるのが普通だと思いますが、
原田先生はそれでは運動能力の高い生徒が頑張るだけで、
低い生徒はやる気を失ってしまうと考え、そうならないために、
理論と実践を交えながら、生徒全員に自分自身の記録を伸ばすよう挑戦させています。

走り幅跳びは、簡単に言えば、高く飛び、飛んだ時に手を大きく振ると
距離が伸びるそうです。
そこで、高く跳ぶことを身体で覚えるために、
眼を描いた「ひとみちゃん」という絵を高い位置に張っておき、
踏み切る時にはそれを見るように指導します。
また手の動きについては、軍手を利用した「さわろう君」をぶら下げて、
跳ぶ時にそれをさわらせるようにします。
(このネーミングは、一緒に見ていた弊社のスタッフにも大受けしていました)
このように、様々な工夫を凝らした指導によって、生徒に少しずつ自信を付けさせ、
やる気を育てているのです。

他にバスケットボールの指導風景も拝見したのですが、シュートのテクニックや
フォーメーションについて、やはり理論と実践を交えた指導をされており、
生徒達が体育の授業というよりも、クラブ活動のような動きをしていたのには
ビックリしました。

またクラブ活動では、更に厳しい指導をされています。
生徒それぞれに、目標とその目標を達成するためのアクションプランを
じっくりと考えさせ、PDCAによる進捗管理をされているのですが、
特に大切にされているのが、「やり切ること」です。

そのため、日常生活における家事の手伝いまで指導されており、
それも毎日先生の携帯電話に報告させる徹底振りです。
陸上で日本一になったある生徒は、家で毎日皿洗いをしていたそうですが、
修学旅行先の旅館でも頼み込んで皿洗いをさせてもらい、
旅館のおばさんが感動されたこともあったそうです。

原田先生は、吉田松陰先生を尊敬されており、
「教師とは、生き方のモデルであり、お手本である。」
という信条に基づいて指導をされています。

実際、松虫中学校に赴任したばかりの時、生徒に
「日本一になれなかったら先生を辞める」と宣言し、
不退転の立場で取り組まれたことからも分かるように、
生徒だけでなく、自らにも高い目標を課しておられます。

また、「生徒を絶対に勝たせてやりたい」という想いから、
朝は5〜6時に出勤し、夜は11〜12時頃まで、労を惜しまずに働かれているそうです。
先生は、「本気・徹底・継続」の指導をすることによって、
生徒だけでなく周囲の先生や親まで変わっていくことを、身を持って示しておられます。

「人財が育たない」と言う割に、大した努力をしないトップやリーダーは少なく
ありませんが、原田先生の指導はそれでは何も変わらないことを示唆しているのです。

先生は、昨年より奈良県天理大学で教師を志す若者の教育に力を注ぎながら、
スポーツ選手のメンタルトレーニング指導や教育現場再生プログラム構築、
企業人材育成支援指導の講演活動など、幅広く活躍されています。
詳しくは、下記のホームページをご覧下さい。
http://www.haradatakashi.jp/

余談ですが、私には原田先生が「なんでだろう」の左側のテツさんに
見えてしようがありません…(先生、ごめんなさい)


■編集後記

アテネオリンピックでは、日本選手が獲得メダル数37個という素晴らしい結果と
感動をプレゼントしてくれました。
個人的には、ケガを乗り越えて獲得した谷亮子選手の金メダルが
一番輝いていたように思います。
(試合直後の谷ご夫婦のやり取りも最高でした)

反面、同じ日にオリンピック3連覇という偉業を達成した柔道の野村選手は、
柔ちゃんの影響で今一つ注目度が低く、ちょっと可哀想な気がしましたし、
ハンマー投げの室伏選手は、試合当日表彰台の真ん中に立たせてあげたかった…

他にも、様々なドラマがありましたが、地道な練習を積み重ねて、
4年に1度という限られたチャンスをものにした選手の喜びの姿、
また思い通りとは言えない結果に終わりながらも、
次の大会への挑戦を公言する選手の姿を見ていると、
「最近の若者は…」なんて言っていられませんね。

金メダルを獲得した水泳の北島選手の「気持ちいい、超気持ちいい」発言を耳にして、
世代のギャップを感じたのは私だけでしょうか…


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