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「志通信」メールマガジン 2005.9 VOL.53
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■学校≒企業
前号でも教育に関するお話をしましたが、
横浜市教育委員会の教育委員である義家(よしいえ)弘介先生
(通称:ヤンキー先生)の講演会に参加してきました。
( http://www.yoshiie.jp/ )
何かと問題の多い学校教育の現場で、一所懸命に取り組んでおられ、
企業経営にも当てはまるお話が多々ありましたので、
その一部をご紹介します。
まず最初に、学校教育崩壊の原因の一つとして、
教師が「忙しさ」を言い訳にしていることを挙げられていました。
「教師はプロであり、どんな状況であっても、
やるべきことをやらなければならない。」
義家先生ご自身も、自分の弱さ、そして自分に甘い人間であることを自覚し、
自分に刃を突きつけるようにしているとのこと。
また自殺の問題に関しても、
「学校や教師は責任回避と保身ばかりを考えている。
このままでは根本的な問題解決には至らないだろう。」
と言われていました。
このお話、「教師」の部分を、
経営者や管理職に当てはめてみてはどうでしょうか。
また、義家流「指導者の3つの条件」を紹介されていたのですが、
そのまず一つ目は「聞く」こと、
これは生徒の声にならない声に耳を傾けること。
そして、二つ目は「伝える」こと、
これは相手に伝わるまで直球で投げ続けること、何百球でも投げ続けること。
三つ目は「学ぶ」こと、
これは生徒に学ぶことを要求するだけでなく、自らが学ぶこと。
これらも耳の痛い話です。
さらに、「生徒や子供に対する教師・親の責任とは何か」
という問いかけがありました。
学校関係者や親御さんにこの質問をすると、
「失敗に責任を負う」、「健康に責任を負う」等
いろいろな答えが返ってくるそうですが、
最も多い回答は「人生に責任を負う」というものだそうです。
義家先生は、「人生に責任を負うのは無理です」と断言されていました。
「自分の人生は自分で責任を負うしかない。
言い換えれば、他人の人生の責任を負うことはできない。」
そして、義家流の答えは、「成長に対して明確な責任を負うこと」でした。
では「成長」とは何か。
例えば、筋力トレーニングでは、筋肉に傷をつけ、
それを修復するプロセスで、筋力が強化され成長していく。
このように、成長とは抵抗や障害の中で実現されるのだから、
適切な環境を与えることが必要であること。
転ばぬ先の杖を準備するような、いたせり尽くせりのおせっかいは
大きな間違いで、そんなことでは転んだ時に対処できず、
生存能力が弱まり、成長できなくなってしまう。
つまり、優しさと甘さを勘違いしてはいけない。
また、自由という言葉は
「誰にも束縛されない。やりたい時にやりたいことができる。」
といった誤解があるが、
自由の本質とは、
「自分自身のかけがえのない人生を、責任を持って選択していくこと」。
成長に必要なものは「抵抗=不自由」であり、
教育者は一定の範囲を明確に示し、
その中で充分に力を発揮させ、本人に選択させていくこと、
そして必ずそこに寄り添っていること。
これが教育の原点である。
「中途半端な自由を与えてしまうこと」や「丸投げした上での責任回避」では、
人は成長しない。
そして、嫌われようと恨まれようと、本気で接すること。
「本気で接し、叱った人間だけが、褒める権利を持っている。」
とも言われていました。
実践されている言葉の一つひとつが、胸に響いてきます...。
講演の最後にご紹介されていたのが、
茨木のりこさんの「自分の感受性くらい」という詩でした。
パサパサに乾いてゆく心を
人のせいにはするな
自ら水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを近親のせいにするな
なにもかも下手だったのは私
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひ弱な志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性ぐらい自分で守れ
ばかものよ
意味深い詩です。
そして義家先生が、毎朝胸に刻まれている言葉は、
夢は決して逃げていかない。
自分が夢から逃げていくのだ。
今こそ立ち止まり、ずるくても、弱くても情けなくてもいい。
等身大の自分と向き合い戦って行こう。
その先で、夢は必ず待っている
淡々とお話される中に、義家先生の情熱を感じていました。
■編集後記
義家先生にも、うちの進之助と同い年位の男の子がいらっしゃるとのこと。
講演の中でも、お子さんの話題になると
父親としての優しい表情を見せられていましたし、
「子どもは3歳までに一生分の親孝行をするんですよね。」と、
しみじみ語っておられました。
進之助はもうすぐ3歳。
「と言うことは、これから一生分の親不孝が始まる…?」
進之助、お願いだから、とうさんのような親不孝息子にはならないでね。
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