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    「志通信」メールマガジン                  1998年10月 VOL.6

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■禁煙

この10月より、国内線の飛行機は全席禁煙となりました。最近は公共の場や職場において禁煙や分煙が急速に進み、話題に取り上げられることも多いようです。
かく言う私も一年前までは煙草を吸っていたのですが、禁煙にチャレンジし、一つの区切りとしていた一年が経過したのを機会に「禁煙から学んだこと」についてお話ししたいと思います。
私が禁煙しようと思ったきっかけは、平均して一日2箱、飲みに行くと3〜4箱は平気で吸ってしまうヘビースモーカーで、健康面が心配になってきたことです。
そのため昨年の年初、「今年こそは煙草を止めよう」と決心しました。
年初に決心したとはいっても、別に誰かに口外した訳ではなかったのですが、常日頃「やるといったらやりましょう」と言っている私が、年末も押し迫った10月になっても決めたことを実行できていないということが、どうも心の片隅に引っ掛っていたのです。
そうかといって「やめると公言して失敗したら格好悪いし...」と思いが交錯し、実際にはなかなか踏み切れずにいました。
そんなある日、何気なくうちの家内に「禁煙しようと思うんだけど」と言ってみたのですが、「嘘でしょ?」と全く信用してくれません。
(まさに前号の「男の実力」ですね...笑)
そんなことから、次第に「意地でも今年中にやめてやろう」という気持ちになり、忘れもしない10/1、家庭と職場で高らかに「禁煙宣言」をしたのでした。
ここですぐにやめていればいいのですが、何せ意志の弱い私のことですから簡単に事は進みません。
初日は最初の数時間こそ我慢していたものの、お客様の悪魔のささやきにつられて数本吸ってしまい、その上「イライラして仕事が手につかない」などと理由を付けて、新たな一箱を購入してしまいました。
そして社内でバツが悪い思いをしながらも、「この一箱を吸ったら、今度こそやめよう」と心の中で言い訳していたのです。
にもかかわらず、この翌日無性に「吸いたいー」という欲求が湧き起こり、自動販売機の前に立って数分間悩んだ末、次の一箱を買ってしまうのですが、その一服は、全然美味しくありませんでした。
その上、「自分は一度決心をしていながら何をしているんだろう?」と情けなくなってしまい、残り19本が入った箱をごみ箱に投げ捨てました。
普通の人であれば、ここでやめるでしょう。しかしながら、またもやどうしても我慢できなくなり、何とこの数時間後、私はその捨てた煙草の箱をごみ箱から拾い出し、2本目に火を付けてしまったのです。
もちろんこれも美味しい訳はありません。それどころか、重〜い「自己嫌悪」が私の心を埋め尽くします。
この時に「これから、もう何があっても吸わないぞ!!今度こそ本当にやめるぞー!!」と心の中で叫び、その残り18本の煙草を水で濡らし、二度と吸えないようにして捨てました。
ここから私の本当の禁煙が始まるのですが、4日後には禁断症状のピークを迎え、気が狂いそうでした。大袈裟なようですが、相当なニコチン中毒に陥っていたようです。
その後は、危ない橋を渡りながらも何とか耐え抜き、一ヶ月、三ヶ月、半年と徐々に楽になり、現在に至っています。
私の恥をさらしてしまいましたが、禁煙する時は、大抵「いついつから止める」とか、「この一箱を吸ったらやめる」と決めるのですが、たった一度失敗しただけで諦めてしまう方が多いようです。
一回の試験で全てが決まってしまう受験社会の弊害でしょうか、少しうまく行かなかっただけで、諦めたり放り出してしまう人もありますが、簡単に諦めるのではなく、自分の失敗を真摯に受け止め、その失敗を糧として再度取り組むことが成功の秘訣ではないでしょうか?
これは禁煙に限ったことではなく、人生全般において言えることだと思います。
私が禁煙を通じて学んだのは、「一度の挑戦で成功することはごく稀であり、失敗体験から学んで繰り返しチャレンジし、成功するまで取り組むことが大切である」ということです。
人生にはいろいろな出来事や困難があり常に順風満帆という訳には行きません。
少々失敗しても挫けずに、成功するまで取り組む逞しさを身に付けたいものです。


■編集後記

喫煙経験の無い方から見れば、「何を禁煙ごときで大袈裟な...」と思われるかもしれませんが、煙草とは習慣性のある嗜好品であり、一度吸い始めるとやめるのは大変です。
だからこそ、「やめようかなー」とか「そろそろやめた方がいいかな」と禁煙を考えたことのある方は、是非この機会に取り組んで見られては如何でしょうか?
というのは、「禁煙」とは喫煙者にしかできない特権であり、これを克服することによって大きな自信を得る「チャンス」であると思うのです。
私は、正直言ってやめる自信はありませんでした。だからこそ禁煙に成功した自分を褒めてやりたいと思いますし、今の自分にとって大きな自信となっています。
そしてもちろん、一年経過して「煙草をやめなければ良かった」と思ったことは一度もないのです。
また話は変わりますが、私が禁煙を開始したことによって予想外の大きな反響が有りました。
うれしいような悲しいような話なのですが、あれだけのヘビースモーカーで、かつ意志の弱い私がやめたことは、友人や知人にとって相当ショックだったようで(どうも私だけは何があってもやめないだろうと思われていたようです)、その影響で少しずつではありますが、禁煙を始める方がいるのです。
私にとって「禁煙」とは、これまでの人生の中で、自分の行動が人様のお役に立った数少ない経験のひとつとなったようです。(笑)

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