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    「志通信」メールマガジン                  1998年11月 VOL.7

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■もう一人の自分

「田原さんは、悩みや問題がある時にどうやって解決されているのですか?」
以前にこんな質問をいただきました。
解決方法はその内容にもよりますが、上司や家族、友人等周りの人に相談するのが一般的だと思います。
しかしながら、他の人に相談できる程時間的余裕のある問題はいいのですが、そのほとんどは、短時間に自分自身で判断を下さなければなりません。
私は平成5年に会社を設立し、それまでと一番大きく変わったことは、「全てにおいて自ら判断と決断を下さなければならない」ことであり、そんな中で私なりに身に付けた解決方法が、「もう一人の自分」作戦です。
実際にはどなたかに教えて頂いたか、それとも何か本で読んだのかもしれませんが、それはさて置いてこの作戦をご紹介しますと、『自らを客観視し、自分という知り合いから相談されたとしたらどうアドバイスするだろうかという観点に立って考え、自分自身にアドバイスする』というものです。
この方法は、「小人」の私にとって実に有効です。
と言いますのが、問題が起こると頭に血が上ってしまうことがあるのですが、この考え方によって、多少の困難は冷静に受け止めることができるのです。
実は今回この話をご紹介しましたのは、以前にこの方法をご紹介した方から、先日「あの考え方を大変有効に使わせていただいています」とお礼を言われたことがきっかけとなりました。
意思決定にスピードが必要な現代において、皆様にとっても何かのお役に立つことができればと思いましてご紹介した次第です。
また最近は、自社での新たな取り組みにおいて、またお客様が新しいことに取り組まれる時の判断をする際に、京セラの稲盛会長の「動機善なりや、私心なかりしか」という問いを何度も繰り返すようにしています。
「事業活動」とは、社会というシステムの中で行われるものであり、その事業活動が「善」でなくして、社会の一員である企業の成長など望むべくもありません。
「善」でなくても短期的には成功するものもあるかもしれませんが、長期に継続させることはできないでしょう。
これからの時代、稲盛さんが言われますように、動機とそのプロセスが善であることは企業経営に欠かせないものになっていくと思います。
厳しい環境の中で、判断を誤ってしまいそうな問題も数多くあるようですが、正しい判断基準を持ち、正しい方向へ進んでいきたいと存じます。


◇心配り

先日、たなか経営研究所の田中先生とご一緒させていただいたのですが、電車を降りる時に、乗っていた車両の床に転がっていた二つの空缶を拾って降りられました。
さりげない行動でしたので、「いつも拾われているんですか?」とお聞きしたところ、「高齢の方や目の不自由な方が踏まれると危ないですから、見つけた時には拾うようにしているんですよ」とのご返事でした。
私は恥ずかしながら、「汚い」という美観的な問題と、「ゴミを捨ててはいけない」という道徳的な観点でしか捉えておらず、その細やかな心配りに大変感銘を受けました。
最近は「ポイ捨て」の現場を目にすることが多く、大変腹立たしく思います。
目撃した時には、相手を選んで(笑)注意するようにしているのですが、「すいません」とすぐに拾われる方がある反面、「捨てて何が悪いんだ」という表情でそのまま立ち去る方もあります。
後者の場合は私もつい声を荒げてしまいそうになるのですが、美観的また道徳的なことだけでなく、「高齢者等への心配り」という気持ちを持てば、他人への伝え方や伝わる内容が変わってくるように思います。
不安定な社会情勢の為か、様々な問題が発生しクローズアップされる中で、一番大切なものはこのような「小さな心配りの積み重ね」なのかもしれません。
表面的なものではなく、このような「本当の優しさ」を大切にしていきたいと思います。


■編集後記

前号で、広島の「キーパーソンの集い」のご案内をさせて頂きましたが、ご参加頂きました皆様と講師の先生方、並びにお手伝い頂いたスタッフの方々のお蔭で予想以上に盛り上がり、大変に意義のある集まりとさせて頂くことができました。ここで改めまして御礼申し上げます。
「国難」の中で、自分達が何かを変えていかなければならないという主体性を持った方々と交流し、なおかつ行動すべき方向について確認できましたことを大変嬉しく思います。本当にありがとうございました。

また先月号の「禁煙」に関して、ご意見ご感想をありがとうございました。
「私も以前苦労しましてね」とか、「12月の値上げと共に禁煙します」等いろいろな話をお聞かせ頂いたのですが、一番多かったのが「マナー」についての話でした。 先日ある集まりで、数年前に禁煙された方から、「喫煙マナーについて話題に上ることも増えましたが、煙草の煙や臭い、吸い殻のゴミ等、確かに喫煙者側の配慮が足りないことが多いですね。しかし、嫌煙家の方も感情的になって攻撃するのは、感心できません」との発言がありました。
最近では、煙草メーカーのテレビコマーシャルにマナーが取り上げられるほどですが、実を申しますと、私も煙草を吸っていた時は全くと言っていいほど気を遣っていませんでした。 と言いますか、その必要性自体をほとんど意識しておらず、禁煙した後になってようやく気付いたのです。
この方のご意見にありますように、互いに相手に配慮ができていないために、ギャップが生じているのではないでしょうか。
「たかが煙草、されど煙草」、喫煙マナーひとつを取り上げても、互いに心配りのできる良い社会にすることができればと思います。

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