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    「志通信」メールマガジン                  1999年1月 VOL.9

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■あけましておめでとうございます

皆様はどのような新年を迎えられましたでしょうか?
私は、新春ならではの清々しさの満ち溢れるやる気を忘れることなく、一年間頑張りたいと存じます。
新年あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

昨年を振り返りますと、日本経済にとって大変な一年でしたが、私にとりましては、激動の時代の中でいろいろと学ばせて頂いた価値ある一年でもありました。
特に素晴らしい出会いと出会いから生まれた感動に感謝しております。
新年にあたり、皆様におかれましても新たな出会い(ご縁)と感動の輪が広がりますことを祈念致しますと共に、新たな価値と感動の創造に向けて尽力して参りたいと存じます。
本年もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。


■嵐の航海

フランスの詩人「ユーゴー」は、「人生は航海なり」という言葉を残していますが、今のような時代に企業を経営するということは、嵐の海を航海することに例えられるかもしれません。
風は強く、波は高く、雨は甲板を激しく打ち付けています。空は真っ黒で視界は数メートル程しかありません。
無線での連絡から判断すると、同じ船団のいくつかの船は沈没してしまったようですし、私たちの船も今にも壊れてしまいそうです。
そしてこの嵐が勢力を弱める気配は微塵も感じられず、何時止むものか全く予想がつかないのです。
乗組員を見ると、ある者は必死で甲板の水を汲み出しています。またある者は、必死の形相で舵を握り締めています。
船長は、船と乗組員そして積み荷をできるだけ安全に目的地まで届けなければなりません。 このような時、船長(経営者)は何をすべきなのでしょうか?
ひとつには、潮の流れや風の強さ、吹く方向といった天候の予測が必要でしょう。また、自船の損傷度合いや燃料の残り具合も確認しなければなりません。
これら様々な情報を統合し、東西南北どちらの方向へに進むべきか、つまりどうやって生き残るかを早急に決定しなければならないのです。
生き残り策が決まれば、早速これを伝えるために乗組員を船室に集めます。
乗組員は不安そうな表情を浮かべながら、船長の表情やしぐさの一部始終を食い入るように見つめています。
船長(トップ)の決断に、自らの命を託しているのですから当然のことです。
ここで船長は、生き残り策について自信を持って、かつ乗組員が十分に理解納得できるよう説明し、乗組員が力を合わせてその方向へ進めば、必ずや嵐を乗り越えることができることを伝えなければなりません。
この船長の話に勇気付き、力を合わせることができれば、例え方向が少々間違っていたとしても助かる可能性は飛躍的に向上するのです。
ここまでくれば、あとは全力で取り組むだけです。
もちろん力を出しきっていない乗組員がいれば、何がなんでもやらさなければなりません。 遠慮は不要です。何せ船長と全乗組員は運命共同体であり、その本人を含む乗組員全員の生死がかかっているのです。
このように嵐の海を自力で脱出していくためには、「生き残り策を明確に指し示すこと」、また「生き残りを掛けて、一丸となって取り組むこと」が必要であり、そのほとんどは船長の役割です。
皆さんの船は、今どこの海でどのような航海をされていますでしょうか?


■企業は人なり

「企業は人なり」という言葉があります。
会社にとって「人」が大きな財産であるという意味ですが、昨今の厳しい状況の中では沈みそうな船を救うために、安易に乗組員の下船を命令する船長も見られます。
そもそもリストラとは「事業の再構築」という意味であり、その一部に余剰人員のカットが含まれているのです。
しかし現実には、そのほとんどが「首切り」的な意味合いで使われています。
確かに首切りが必要な場合もあり、これを否定することはできませんが、あくまでも最後の手段であることを忘れてはなりません。
アメリカでさえも首切りの弊害が取り上げられてきています。ましてやアメリカの個人主義とは対照的な家族主義的思想を基本とし、組織的に成果を上げることの得意な日本では、余程の時以外行ってはならないものなのです。
こういう話をすると、「そんなことでは甘いのではないですか?」というご意見をいただくことがあります。
確かに短期的に見れば、甘いかもしれません。しかし経営とは永続することが前提のものであり、永続させる為には長期的な視点で考えなければならないのです。
特に中型や小型船の場合、首切りが致命傷となって「事業の再構築」に失敗してしまったり、失敗しないまでも余計な時間と労力を要する場合があるのです。
日本の中小企業では、社員とは家族に近い存在であり(それが強みでもあり)、家族とは大変な時には助け合うものなのです。
さらに考えてみて下さい。この船が無事生還したとして、乗組員が数名欠けているにもかかわらず、心から喜ぶことができるでしょうか?
また乗組員の家族が出迎えていた時に、数名の乗組員がいない理由をどう説明するのでしょうか?
さらに次の航海で、この船長についてくる乗組員がいるでしょうか?
会社にはそれぞれの事情があるでしょう。また現在の状況下ではスピードが必要なこともよく分かります。
しかしながら、まず行うべきは現有メンバーで最善を尽くすことなのです。
最善を尽くした上でのことであれば、首切りもやむを得ないかもしれません。
しかし現実には、まだまだ努力の余地があるにもかかわらず、安易な決断をしていることも少なくないのではないでしょうか?


■考事縁

考事縁とは、「物事(の本質)を考えるご縁(きっかけ)作り」の意

●今号では、私が今年のキーワードに掲げました「正念場」を取り上げます。
1.しょうねん-ば【正念場】
 @歌舞伎・浄瑠璃で、主人公がその役の性根(シヨウネ)を発揮させる最も重要な
  場面。 性念場。性根場(シヨウネバ)。
 A転じて、ここぞという大事な場面・局面。 使いとして命ぜられた用向き。
2.しょう-ね【性根】
 @根本的な心の持ち方。こんじょう。 「―がすわっている」、「―が悪い」
 A正気(シヨウキ)。 「―を失う」
 B物事の根本のところ。かなめ。
(広辞苑より抜粋)

●「正念場」とは「ここぞという大事な場面・局面」という意味であり、今年は程度の差こそあれ、ほとんどの企業にとって「正念場」であり、その真価を問われる一年ではないでしょうか?
今年は「正念場」をキーワードに、それなりの取り組みを心掛けたいと存じます。


■編集後記

本年より、私自身の想いを少しでも多く伝えることができればと思いまして、ハガキの年賀状から「志通信年賀状」に変更させていただきました。
志通信も二年目となり、少しでもレベルアップできるよう取り組んで参ります。
まだまだ稚拙な文章で恐縮ですが、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。

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